歯茎が下がったら戻らない？？

こんにちは！

千葉県市川市の妙典駅前にある妙典歯科Nクリニックです。

 

今回は患者さまが間違えやすい「歯茎が戻らない」という言葉について解説していきます。

 

歯は削ったり折れたりした場合には治癒（再生）はしません。

歯を治すということはなくなった部分を別の何かで置き換えるということです。

 

しかし、歯茎は治癒します。

通常の皮膚や粘膜などの組織は常に再生を繰り返して元の状態に治癒していきます。

 

ただ、歯医者さんで「一度下がった歯茎は戻らないよ」と言われたことはありませんか？

これは歯茎が戻っていないのではなく歯を支える骨が戻っていないことが大きな原因です。

図は歯と歯茎の関係を表したものです。

左が歯、右が歯茎の断面

 

歯茎の中にあるグレーで示されたものは骨（歯槽骨）です。

骨の頂点の高さから上方に約1㎜は歯の表面に結合組織性の付着を歯茎がしています。

そして、さらに上に上皮性の付着と言った歯肉付着が約1㎜あり、そのさらに上方ではいわゆる歯周ポケットという言葉でなじみのある歯肉溝が約1㎜あります。

 

この合わせて3㎜の幅が「生物学的幅径」と呼ばれる構造で正常な治癒を起こしたときには再生されます。

 

例えば歯茎を切除したとしても3㎜の生物学的幅径は自然に治癒します。

つまり歯茎は治るのです。

 

このことから、歯を支える骨が正しい位置にあれば歯茎は正常にもどり、歯を支える骨が歯周病で溶けてしまっている状態では歯茎は治っても骨が治っていないので歯茎が見かけ上下がったままということが言えます。

 

歯周治療では歯肉の状態はもちろんですが、歯を支える骨が歯茎の高さを決めることには重要であることが分かります。

 

歯肉炎は歯茎だけの炎症。

歯周炎は歯茎だけでなくその周りの骨などにも炎症を起こしてしまっている状態。

 

と明確に分けられていますので、歯周炎になる前に必ず歯科医院で定期的な検診やメンテナンスをするようにしていきましょう。