口の粘膜にできた黒いもの

口腔粘膜において、色素沈着はいくつかのタイプがあります。

内因性色素沈着（体の中から作られるタイプ）と外因性色素である金属や薬剤があります。

どれも褐色から黒色あるいは暗青色になることがほとんどです。

 

代表的なものがこちらです。

・生理的色素沈着

・色素性母斑

・充填物や補綴物による色素沈着

・全身疾患による色素沈着

・悪性黒色腫

 

まずは生理的色素沈着です。

これは病的な意義の無い色素斑でメラニン色素が歯茎に沈着しできるものです。

 

色素性母斑は神経堤由来の母斑細胞が増殖することで生じたもの（結節状）で過剰に作られすぎてしまった過誤腫的病変です。

いぼみたいなものですね。

 

次に歯科治療で用いられる金属から溶出したイオンが歯茎に沈着したものです。

特に古い金属が沈着しやすく、最近の歯科医療は極力金属を使用しないような流れができています。

 

全身的な疾患による色素沈着は代表的なものが3つあります。

アジソン病、ポイツージェーガース症候群、フォンレックリングハウゼン病です。

それぞれ、アジソン病は副腎皮質の病変で慢性的にステロイドホルモンの分泌が低下している病気です。

ポイツージェーガース症候群では多発性のポリープを作ったり、斑点状の色素沈着を起こす疾患です。

フォンレックリングハウゼン病は皮膚にカフェオレをこぼした跡のような斑をつくり神経線維腫と言って神経に病気ができてしまいます。

 

悪性黒色腫はいわゆる癌の一種です。非常に予後が悪く転移しやすいため非常に重要な病変です。

これが疑われた場合にはすぐに高度医療機関での癌治療を行う必要があります。

 

色素沈着は怖い悪性黒色腫の可能性もありますので、見つけて気になった場合にはすぐに歯科医院へ受診するようにしましょう。